13回目のインタビューは、第12回に続いて、「曖昧vivid⭐︎」監督の冨田幸杜さんです。スピカの恒例イベント夏合宿の様子をおさめた映画が、どのように撮られたのかお聞きしました。
スピカ夏合宿の記憶
──「曖昧vivid⭐︎」について教えて下さい。
「曖昧vivid⭐︎」は、記憶の記録です。合宿に参加した冨田幸杜の気持ちと、私から見たみんなの美しさを描き続けてるってだけです。あらすじとかストーリーとかないです。記憶とか自分の脳内映像を可視化しました。
──タイトルの意味は何ですか
タイトルの原案は「朧色の記憶あるいは原色」でした。でも、記憶って曖昧でどんどん薄れていくものだけど、その中にもずっと変わらないものとか、曖昧じゃないものってあるよなっていう。矛盾じゃなくて多分事実で、今こうインタビューしてて楽しいなとか、今言ってることは嘘じゃない事実だけど、後には違う意見になってくし。自分の撮りたい映画とか見る世界も変わってくし。でもあの時言った言葉って原色だったなっていう想いですね。
──それを表す言葉として、曖昧なヴィヴィッド。
そう、「曖昧vivid⭐︎」星、星大事。スピカだから。「曖昧vivid⭐︎」はスピカの映画なんで、スピカで私はずっと曖昧vividだよっていう。
どんどん変化もしていくけど、変わらない信念もあるよ。
その時のエモーションを
──撮影することにしたきっかけを教えて下さい。
きっかけは、合宿に来てた同期の2人がすっごい可愛い感じで座ってて、めちゃくちゃ芸術的だったんです。2人はずっとうとうとしながら映画について話し合ってたんですよ。これビデオにおさめたいって思って、錯誤してずっと撮ってたんですよ。気づいたら5分くらいカメラを構えていて。こんなに丁寧に撮った映像を何にも残さないのもったいなさすぎるみたいに思って。こんな感じで、いろんな人をエモい画角で撮っていったら映画になるんじゃないって思って。それを思い立ったらもう寝れなくなっちゃって、色々試すうちにひらめいて、今こうやって記録してるこのエモーショナルな気持ちを映画にしたいなっていう感じに変わって。カメラに向かって喋り始めちゃったりしちゃって。それを繋げてったら、あれができました。

──この映画の一番のポイントを教えて下さい。
音です!撮った映像を映画にする、上映するって決めた時に、お風呂の水の音を録音したんです。私の感情が高まった瞬間に波がすごいはしゃいだり、私がちょっと忘れそうな瞬間だと落ち着いたりみたいな感じにして、それを映画の音感として活用しました。
──なるほど、水の音が感情を表してるんですね。
夏合宿の間
──まだ見てない人に、メッセージをお願いします。
スピカ楽しい。あと、夏合宿来た人は思い出してほしい、あの時の自分たちを。夏合宿来てなかった人は夏合宿に来た気持ちになってほしい。この映画にいる間は夏合宿の間だと思ってほしい。そんな感じです。
冨田幸杜

スピカ1895の25期メンバー。過去監督作に、「戯言」、「曖昧vivid⭐︎」がある。不完全な人の心に温もりを伝える創作者を志している。