実写版新海誠をめざして〜切なさ溢れる別れのストーリー〜「あの時計」

第2回のインタビューは、「あの時計」監督の大館宏樹さんです。

「あの時計」は大館さんの初監督作品であると同時に、スピカで初めての26期作品。

撮ろうと思ったきっかけや、初めて映画を作る中での苦労、想定外の出来事などをお聞きしました。

期待の26期作品

──今回の駒場祭は、多分48時間映画祭のものを除くと大館さんが初で唯一の26期作品ですね。

多分そうです。

──じゃあ期待の26期初作品ということで。初監督作品とのことですが、制作にあたり難しかったことはありましたか。

本当に何も知らなかったんで、カメラとか機材の使い方が難しかったです。 全然わからなかったのを、撮影に慣れてる友達に教えてもらって、なんとか撮ったって感じです。彼らに撮影をお願いしてもよかったんですが、僕がカメラを自分で使えるようになりたかったんで、教えてもらって僕がやりつつ、たまに撮影を頼んだりしてました。

──向上心!さすがです。

別れの切なさ

──この映画のテーマを教えていただけますか。

「別れ」をテーマに脚本を書きました。

──「別れ」ですか。どういうきっかけで「別れ」を撮ろうと思ったんですか。

8月くらいに、新海誠さんの「秒速5センチメートル」を見て、それっぽいのをやってみたいなって思ってました。「秒速5センチメートル」のずっと切ない感じが割と好きで。

あと合宿前に1回26期で撮影をやっておきたいなと思って、夏休みの合宿前に撮影を入れました。

新海誠監督作品「秒速5センチメートル」

──なるほど…!この映画の中で、「秒速5センチメートル」を意識したシーン等はありますか?

踏み切りで分かれるシーンがあるんですけど、それは完全に「秒速5センチメートル」に出てくる1シーンと一致してて。 そんな感じのシーンを撮りたいなと思ってて、ちょうど学校の近くに踏み切りがあったので、撮影しました。

主演Mさんにまつわる想定外エピソード

──制作中、想定外の出来事等あれば教えてください

事前にスピカ25期のMさんに脚本渡して、男の役やってくださいって言ってたんですね。でも撮影当日、Mさんは自分が主演だってことに気づいてなかったらしくて。「え」ってめっちゃ驚いてるのが面白かったです。

──え、この役やってって言って渡したんですよね。

役者が基本男女の2人しかいなくて、その男性役って言ったら主演ってわかるかなと思って言ってたら、あんまり把握してなかったっていう。

──なるほどw

あと編集してる時に見つけたのが、主演のMさんがめっちゃ走ってるシーンがあるんですけど、

それを編集する時に、逆再生してみるとめっちゃおもしろいなって思いました。

──想定外の発見ですね。編集してる時って確認のためにたまに逆再生しますもんねw

そうですね。完成版映像の中でいくと、Mさんが、さっきのシーンなんですけど、走って追いつくシーンが、思ったよりちゃんと追いついてる感があってよかったですね。

──それはよかったです!動きのあるカットってタイミング合わなくて悩むことありますよね。

7色の井の頭線に翻弄された撮影

──製作中の苦労とか、困ったこととかありましたか

井の頭線って7色くらい電車の色があって。踏切で撮影する時に、前後のカットで通る電車の色が違っちゃって、撮影が進まないことがありました。変なおじさんが、踏み切りのシーンを撮ってる最中に入ってきちゃって、微妙な感じになったりってこともありました。

──井の頭線って7色もあるんですね!知らなかったです。

あと、ちょっと解決するかまだわかってないんですけど、新学生会館の方で撮った時に、上で音楽系の団体がめちゃくちゃ楽器弾いてて。その音声をどうしたらいいか迷ってます。

──わかる。切り離すに切り離せない環境音ね。

はい。ちょっと僕の能力では今んとこ解決できないから、編集のできる26期メンバーとかにどうすればいいのか聞いてみようと思ってます。もしかしたら当日までに解決するかもしれないですね。

実写版新海誠

──この映画の魅力を教えてください

僕、割と全部、新海誠さんの作品全部好きなんで

新海誠さんっぽい作品を撮りたくて撮ったっていうのがあって。

それで、「秒速5センチメートル」ももちろん好きなんですけど、他のちょっと古めの、「君の名は。」以前のやつとかも割と好きで。そういうのも若干意識しつつ撮りました。

──じゃあ実写版新海誠ということで。

そうですね。そうなってたらいいですけどw

次回作は会話劇を

──今後作っていきたい作品について教えてください。

今後作っていきたい作品としては、今秋生(スピカ25期)と共同で立てている企画として、会話劇があるんですけど。ある人が隔離されてて、その人のとこに会いに来た人がその人を説得して隔離から引っ張り出す話です。中の人は外に行くのが怖くて、外の人が出そうとするけど、外の人も実は出したらいけないんじゃないかと思ってたりする。みたいな感じの会話劇になります。

──なるほど!五月祭で上映されるのを期待してます。

大館宏樹

スピカ1895の26期メンバー。今回の「あの時計」が初監督作品。

「そばにいるもの」にも役者として出演している。

ちなみに、名前の読み方は「おおたち」です。