第3回は、26期初の48時間映画祭作品、「そばにいるもの」監督の、スピカ26期松村蒼さん。
素敵な発想から生まれた作品の、不思議な制作の裏側をインタビュー!「そばにいるもの」とは何なのか?前半に感じる「違和感」とは?踏まれる役に、アカペラで歌う人…?ぜひ、謎を明かしに観てみてください!
最初は違和感を感じる作品!?
──作品のあらすじをまだ見てない人にも伝わるように教えていただきたいです。
話そうとすると結構ネタバレになっちゃうので、あんまり話せないんですけど。話自体は、主人公の女の子、ヒロミちゃんの何気ない1日です。
ただ、最初の方は、ちょっとした違和感を感じると思います。それが終盤で明らかになっていくのを楽しんでほしいな。
──おおネタバレ厳禁なタイプですね!ぜひその「違和感」が何なのか観に来ていただきたいですね
日常の中のスーパーヒーロー
──この企画を思いついたきっかけを教えてください
ジャンルがバディフィルムかスーパーヒーローの2択で、じゃあそれぞれ案を出していこうってことになったんです。その時に、スーパーヒーローで出たみんなの案が結構スーパーマンの話に偏ってて、私はちょっと違う視点で進めたいなと思って考えました。スーパーヒーローって誰かを助けてくれる存在じゃないですか。そしたら、めちゃくちゃ強いスーパーマンとかじゃなくても、日常的にちょっとした手助けをしてくれるような存在も、スーパーヒーローって言えるんじゃないかな、と思ったのが最初です。結局、手助け、という点からバディフィルムの方がしっくり来たので、バディフィルムになりました。
──なるほど!日常のスーパーヒーローっていう発想に飛べるのは素敵ですね。
そばにある人やものって、ずっと近くにあると、感謝の気持ちとかがわからなくなっちゃう。そういうものにもう一度気づき直せるような映画になっていればいいと思います。あんなふざけた映画で大それたこと言いますけどw
──「そばにいるもの」のタイトルは、最初から決まってたんですか?
いや、全然。タイトルは本当に後付けで。最初はそれこそスーパーヒーローの映画として出した案だったので、「身近なスーパーヒーロー(仮)」みたいな感じで。
全部撮影して、最後にタイトルどうしようってみんなで案出して、自分のそばにいるものにもう1回ちゃんと感謝していけたらいいよね、という気持ちを込めて、「そばにいるもの」にしました。「もの」には、二つの意味をかけてます。
──確かに2つの意味がかかってますね!これは観た人にしか伝わらないいいタイトル
踏まれたり床で寝たり、満身創痍
──制作中の面白かったエピソードを教えてください
やっぱあれかな、主人公に踏まれる役の人がいるんですけど、その人が踏まれるシーンの撮影で、靴の裏を拭いたりとかして、ちょっとでも踏まれる役者さんの負担が減るように、みたいなことはありましたね。
──踏まれる役は嫌ですねw 配役はどうやって決めたんですか?
配役を決めたのが、踏まれる役の人なのでw 多分、誰をあの役に当てはめることもはばかられたんで、優しさで自分がやろうって、自ら踏まれる役になってくれたっていう
──責任感ありますねw 優しい
映画の中のシーンですと、主人公がパソコンを開くシーンが好きで。主人公の、地元のヤンキーの先輩みたいな叩き方がめちゃくちゃ面白くて、お気に入りです。
──あのシーンはハマってましたね。すごく面白かったです。
あとは、主人公の子が、眠すぎて1回大学の床で寝てましたね。映画祭の1日目に、多分3時間とかしか寝てなくて。
──3時間睡眠!
みんな満身創痍で撮ってたんだな、と思っていただければw
初監督作品なのにスムーズ!
──松村さんは監督初でしたっけ
初めてですね。48時間映画祭も初めてで。なので、何もかもわからなすぎて、ずっとバタバタしてたなっていう印象です。
──初監督初48時間映画祭は猛者ですね…!
編集も撮影もできる人がいたので、 私はもう「あ、はい、それでいいと思います」みたいな感じでしたけどw
作品自体は、すごくイメージ通りにできてよかったです。
──すごい…48時間映画祭だと、大体時間足りなくなってシーンを削ったり思い通りのカットが取れなかったりすることが多いのに
逆に最終日にちょっと増やすみたいなとことかあったりして。
一つあるとしたら、荷物とかピンマイクとかが全部画面に入っちゃってるカットがあって、そのカットを全部切るみたいなことはありました。でもいい経験になりましたね。
ギリギリの編集!
──制作中にあった大変だったことを教えてください
元々編集予定だった人が、2日目の夜に急用で抜けちゃって。それはマジでめちゃくちゃ焦って大変でしたね。ありとあらゆる人と連携取って編集お願いして、みたいな。なんか本当に大変でした。
──え、結局編集は間に合ったんですか?
その元々編集予定だった人が、23期の河本さんを連れてきて、「あとはこの人によろしく頼んだから」みたいに言われて、2日目の夜に。「え、嘘」って感じで。
──2日の夜か。ここからバリバリ編集するぞって時間帯ですね。
そうです。追加撮影とかもかなりあって、ギリギリでしたね。色々。2日目の撮影中にめちゃくちゃ楽器の音が入っちゃって、3日目に全部アフレコしたシーンもあって。
──全部アフレコ!全然違和感なかったです。
作曲まで2日以内に!?
──劇中に使われていた曲はどうされたんですか
後半でかかるBGMは26期のKくんが作ってくれて、作中で1人の役者さんがアカペラで歌ってる曲は、歌ってる役の方が自分で作ってくれました。「ちょっと歌作ってきて」って言ったら作ってきてくれて。
──すごい…48時間以内で曲まで作ったとは…
あんなのできる子はなかなかいないですね
──26期のメンバー、音楽強い人多いですよね。前回の48時間映画祭でも作曲されてた方いました。
2回目が見たくなる作品
──この映画の魅力ポイントを教えてください
2回目が見たくなる作品になってます。なので、1回目わけわかんなくても見続けて、ぜひもう1回見てほしいなと思います。
違った視点から見る物語を
──今後の展望を教えてください
やっぱり自分で監督も編集もやって作品を撮ってみたいです。
撮ってみたい作品としては、オムニバスみたいな作品とかに憧れてて。「ミステリートレイン」みたいな感じの、同じ場所で、同じ時間だけど、そこにいる人たちそれぞれの視点から見たら全く違う物語みたいなのとか。そういうのを、身近な世界の中でも、撮ってみたいと思ってます。

「ミステリートレイン」
──「そばにいるもの」自体も、同じこと、同じ時間を、2つの視点から見る、みたいな感じですよね。
そういうのが好きなのかもしれないですね、私。
松村蒼

スピカ1895の26期メンバー。今回の「そばにいるもの」が初監督作品。
「わすれないよこのみちを」にて役者にも初挑戦している。