第7回のインタビューは、第6回に引き続き、「再上映」監督の牧駿太郎さんです。
「Samurai alive on screen」と同様、映画制作の裏側を切り取るものでありながら、前回とは少し変わったシリアスさと焦燥感、疾走感のある映画になっています。ぜひ比較しながら観てみてください!
何事も思いやり
──「再上映」のあらすじを教えてください
これも「Samurai alive on screen」と同じで、映画制作のドキュメンタリー的な映画になってるんですけど。監督が現場でずっと怒ってるんですよ。「お前らは何もしねえじゃねえか」、「俺の方がカメラできるよ」、「役者、全然ダメじゃない」ってみんなにキレてる。いい映画を撮りたいが故に、みんなにいいものを求めてるんです。でも、いつの間にか、いい映画を求めてるというのが怒りに変わり、それを人にぶつけてしまって、気づいたら1人になってしまったっていう、ちょっと悲しい話です。
──なるほど。この映画を通して伝えたかったことは何ですか?
何事もそうなんですけど、映像制作でも、ビジネスもそうなんですけど、人に伝える伝え方だったりとか、どうやったら人を気持ちよく動かせられるのかって考えた時に重要なものは、多分、怒って自分の気持ちをバンって外に出すんじゃなくて、柔らかく言わないといけないってことなんですね。柔らかく言わないと人なんて離れていってしまう。素直さが故に人を傷つけてしまうことってあるよねっていうことです。
だから、映像制作でもなんでもそうですけど、思いやり。 思いやりがないと何もうまくいかないよっていう。
映画制作のシリアスさを
──この映画で撮りたかった場面などを教えてください
映画って本当にどうやってできていくのかなっていうリアルなところを撮りたかった。映画を見たことがない人にも、映像制作してみたいなって人にも、ファニーではない、映画制作の根幹にあるちゃんとしたシリアスな部分も伝えられたらいいかなと思いました。
──結構、現場としては最悪に近い状況を再現してはいますけどね。
そうですね、あれはそういう話なんで、最悪なんですけど、うちがドキュメンタリーを撮ってる、その映画の裏側はめちゃくちゃファニーでした。めちゃくちゃエンジョイしてるんで。
──よかったですwこれ見て映像制作やめようとか思われちゃうとね。
もうあれは映像を作る現場の中でも最悪のものなんで。普通の現場は大丈夫です。
過去の自分を再上映
──「再上映」のタイトルの意味を教えてください
この映画自体、過去と現在が交差してるんです。現在の主人公と、過去の主人公の動きが交差してる。その構造が、過去の自分を再上映してるというか、映し出してるように見えるので、「再上映」っていう名前にしました。
疾走感のあるカット
──この映画でお気に入りのポイントを教えてください。
カメラは僕が回して、怒ってる監督役の人を後ろから追いながら撮ってたんですけど、それがすごく疾走感のある、焦ってる感じのカメラワークになってるので、そこがお気に入りのポイントですね。あと最後の、監督がキレて、気づいたら誰もいないっていうシーンなんですけど、そこを全部ワンカットで撮ってるんですよ。それはすごく緊張感のあるシーンだなと思ったし、自分の中でお気に入りのパートですね。
──なるほど、確かにカメラの追い方が躍動感があってよかったですね
あそこまで雰囲気というか、 綺麗に出てる映画はないと思うので、もうその最後のパートだけでも見てほしいです。
土下座
──制作中の1番面白かったエピソードを教えてください
香盤表の時点で、深夜2時ぐらいまでかかることになってたんです。
──2時!48時間映画祭ならではの時間ですね
そう。で、2時までかかるから、まあそう明確には言ってはないですけど、終電はないだろうから、泊まっていった方がいいよっていう感じで話してたんですけど、23時半ぐらいの時に、役者さん2人が、「終電なくなっちゃいます!」「もう時間もやばいよね」みたいになって。でもカメラもカット数も足りてないんで、どうしようと思ってたら、気づいたら自分がもう土下座してましたね。役者さん2人に。「このカット、かのカット1個だけでいいんで、すいません!」って 土下座してたっていう。今思うとすごいシュールで面白かったなっていう。みんな笑ってましたね。
あと一週間で地球が消滅するとしたら
──今後撮りたい映画を教えてください。
今作ろうと思ってる映画は、あと1週間で地球が消滅するっていう時に、女子高校生のめっちゃ仲良い3人が、1週間あるなら、もう自分たちの好きなことして好きなように死のうぜってなる話です。3人が後悔のないように死のうとする、死のうと頑張る1週間。色々試すんですけど、それでも全然、まだやりたいことあるなってなって。後悔のないように死ぬ方法って何なのか考える映画です。
──面白いテーマですね!五月祭で見れるかな。
頑張ります。五月祭には間に合わせます。期待しててください!
牧駿太郎

スピカ1895の25期メンバー
過去作品に「乙女座ガール」、「Samurai alive on screen」、「スピスピラジオ」などがある。
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