第5回のインタビューは、2024年東京48時間映画祭作品「あきあきするわ」の監督、秋生海さんです。
テンポの良い掛け合いが特徴的なバディフィルム、制作の裏で起きていたことをお聞きしました。主演のMさんの演技に注目!
置き手紙を書き換える
──作品のあらすじを教えてください
カップルの片方が、置き手紙を残して出て行っちゃって、それをたまたま入った空き巣が書き換えていい感じに円満にするという話です。それ以上でも以下でもないですね。
──「あきあきするわ」は48時間の作品だと思うんですけど、どういうふうにこの作品を思いついたのか教えてください
その時の48時間映画祭のお題が、ジャンルがバディフィルム、小道具が置き手紙で。で、 確かに、なんで空き巣なんやろうな。この企画を考えたのは、僕じゃなくて26期のS君なんですけど。何を思ったんでしょうか、置き手紙改変したいねみたいなことを言い始めて。改変するのは誰やろなってなったら、要するに意図しない侵入じゃないですか。で、空き巣の話になったのかな。
──なるほど、置き手紙から始まって空き巣になったと。この「あきあきするわ」というタイトルはどういう意味なんでしょうか
えー僕のいないところで決まりました。誠に残念ですが。多分、「空き巣って入れたいね」って僕が言ったのを、みんなが頑張って実現してくれました。
──それじゃあ、この「あきあきするわ」っていうのがどういう意味かとかは…?
ちょっとどういう意味なんですかね、本当。多分ノリです。
──大事ですね、ノリ。
難しいカメラワーク
──制作中に大変だったことを教えてください
映画の最初の方の、置き手紙を書いた彼女が出ていくシーンで、階段を降りる彼女を追った後、そのまま外に立っている空き巣を映すショットがあって。あのショットはめちゃくちゃむずかしかったです。みんなでカメラを回しながらたくさん試して、なんとか撮りました。
──映すものがショットの途中で変わると難しいですよね。
そう。家の階段の構造の関係で、撮影してる時カメラのモニターが見えなかったりするの。だから、画面でチェックできないので、ここから何歩歩いてから止まって…みたいなのを研究して撮りました。

難しかったシーン
怪しさ満点のMさん
──脚本を書いていた時に、「このシーン観てみたい!」と思ったシーンを教えてください
25期のMさんが家探しをするシーンがあるんですね。そこはやっぱMさんだから面白くなるだろうなとはずっと思ってましたね。Mさんの動きで泥棒やったら、もうなんかすごい泥棒になるよなって思ってたんで。
──すごい泥棒、ですか
不審極まりないというか、見られてないのに不審だから。不審者って、見られてる時だけ不審であるかのように思うけど、実際には見られてなくても不審なわけじゃん。その見られてないのに不審だっていう感じ。Mさんです。これは。
──なるほどw 褒めてます?
でも大褒めです。もう100%、純度100の褒めです。
だから、この作品はもう、Mさんの演技に注目です。怪しさ満点です。
──この映画のお気に入りのポイントはどこですか
お気に入りの箇所は、やっぱり空き巣が家探しするシーンで、「テレビ持ってかない?」って言うところ。Mさんの、こいつならテレビ持ってかない?って言うかもって感じが、すごい自然で好きですね。自然にテレビを持っていこうとする。
──その「テレビを持ってこう」っていう案は誰が考えたんですか。
Mさん本人です。空き巣が持っていきそうで持っていかないものを考えてて、そしたらMさん本人が、「テレビじゃない」って。高価だし、売れるやん。個人情報とか入ってないから、いい感じの値で売れるし、中古でも買い手つくやん。絶対。
──なるほどw
盲点でしたね〜。テレビは普通にでかすぎるから盗めないもんな。

ハッピー
──今後の展望とか、これから取ろうと思ってる作品を教えてください。
展望ね。未来ってことですよ要するに。幸せに生きてると思います。まず。
──幸せ、ですか。
ちょっと抽象的すぎました。今後の作品の話をしよう。「frleea」っていう映画を大館と僕とのダブル監督みたいな感じで撮ろうと思ってて。ただ、今ちょっと同じ脚本読んで、2人でハッピーエンドかバットエンドが食い違うっていう事態に陥ってはいます。そのまま突き進みますけど。僕はハッピーエンドだと思ってるんだけど、大館はもうバットエンドでしょうって、すごい常識的な意見をおっしゃってます。
──大館さんのインタビューの方でも話が出てましたね。
秋生海

スピカ1895の25期メンバー。過去監督作に、「ア ガル」がある。
今回の「あきあきするわ」にて、48時間映画祭小道具賞ノミネート
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