2人だから、強くなれる。「100万メートルの競走」

第8回は、夏合宿撮影映画「100万メートルの競走」監督の谷玥さんです。

競走をめぐる青春物語がどうやって生まれたのか、その背景をお聞きしました!

2人いるから成長していける

──作品のあらすじを教えてください。

2人の男の子の話なんですけど。足が速くて、ずっと競走で1位を取れている三木と、その後についていく藤本。1位の三木さえいなかったら、藤本は競走に勝てるんです。でも、2人はお互いがいるから競争し合って成長していくことができる、という青春物語です。

──青春もの、いいですね!タイトルにある、「100万メートル」はどういう意味ですか

以前の48時間映画祭で、河本のとった作品が、「2万パーセントの夜」っていうタイトルで、今回の作品もプロデューサーが河本なので、その延長線として、100万メートルになりました。2人のこれからの人生という長い競争を、100万メートルで表現しました。

──この作品を撮ろうと思ったきっかけを教えてください。

そうですね。半分自分の葛藤から着想してます。ずっと自分は競争、走る競走じゃなくて、 競争すること自体が嫌で、競争なんてない方がいいんじゃないかと思ってた。 でも、幼馴染みに、すごく元気で、なんでも試したり挑戦したりする人がいるんですけど。この間その人に会ったときに、その人がいたからこそ、自分も挑戦し続けて、自分が思っていた以上のことができるようになってると気づいて、そういう人の存在もすごく大事だと改めて気づいて、2人がいるからこそ楽しいっていう話を作ろうと思いました。

──自分の経験からできた作品なんですね。

そうですね、作品の物語自体はフィクションですけど。

万引きシーン

撮影の様子

──この映画で、最初の想定通り撮れたな、というシーンを教えてください

万引きのシーンは結構想像通り撮れて。ヤンキーっぽい人がいて、ミキが万引きするシーン。脚本の時にイメージしてた、スーパーみたいな、実際はセブン-イレブンで撮ってたんですけど、許可が取れて、実際の店を使って撮影できました。

──万引きのシーンって許可とれたんですね!「万引きしてもいいですか。」みたいな感じですか。

そうです。お願いして、事前に払って商品を買って、買ったものを万引きさせてもらって撮りました。

急いで書いた脚本!

──制作中の大変だったエピソードを教えてください

夏合宿での撮影だったので、撮影する企画をみんなで投票して決めるために、企画の提出の締め切りがあったんですけど。最初提出した脚本は、もうめっちゃ河本に「今日出すんだよ!」って急かされながら焦って1日で書いて、それを出しました。

──ギリギリですね…!

企画が通った後も河本が、尺を伸ばしてくれたり、具体的に書いてくれたりと、新しい脚本をたくさん持ってきてくれて。でも、読み合わせの日に、「結局どれにするんだ」って悩んで。すごく悩んだのに、「やっぱ最初のでお願いします」ってなってました。

──結局最初のがいいってことはよくありますよね。

撮影の様子

理性と感性の組み合わせ

──今後撮りたい作品や、展望を教えてください。

違う立場にいる人が見る世界を、映画を通してみんなに見せたいです。映画の、理性と感性の組み合わせに興味があって。

──理性と感性の組み合わせ…何か具体的に参考にしている作品はありますか?

理性的な、複雑性の部分だと、「クーリンチェ少年殺人事件」、感性の部分だと、「溺れるナイフ」と 「Call Me By Your Name」っていうフランスの映画が好きです。

「溺れるナイフ」とか「Call Me By Your Name」は、割と感情的で、音楽とか使って雰囲気をだしてる感じで、「クーリンチェ少年殺人事件」は、複雑な人間関係が色々絵描かれている作品で、その両方の素晴らしさを学んで、自分の撮る作品を考えていきたいと思ってます。

谷玥

スピカ1895の24期メンバー。

監督と役者の両方をこなし、多くの作品に関わっている。

過去作リンク

「蠍の日、僕は出会った、私の心のジャックブラウンに」(出演)

「奇天列回路」(出演)

「永遠ヶ浜」(出演)